レオス-ひふみプラスの投資は危険なの?(国内中型グロースのアクティブファンドの考察)
はじめに
本記事は、出来る限り客観的な情報を元に個人的な考察を記載しています。
ひふみプラスとは何か?
ぶっちゃけどうなの?(評判(自分の体験)や危険か?)といった内容をまとめています。
※ 資産運用は自己責任の為、その点はご理解頂いた上でお願いします。
目次
- はじめに
- 目次
- ひふみプラスって何?
- 特徴
- ひふみプラスは凄いのか?(運用成績)
- ひふみプラスはどういった銘柄を選定しているのか?
- ひふみプラスの最近の傾向
- 私の投資実績(年の利回りではありません。)
- 国内中型グロースのアクティブファンドの化け物
- おわりに
ひふみプラスって何?
レオス・キャピタルワークス株式会社(2003年04月設立)が、
2012年5月に「ひふみ投信」の姉妹ファンドとして運用が開始された国内アクティブファンドです。
※ 「ひふみ投信」はリーマンショック直後の2008年10月に運用、販売を開始しています。
率いるのは藤野 英人(ふじの ひでと)氏であり、
本企業設立前よりカリスマファンドマネージャーとして名を馳せていた方です。
メディアへの露出も高く、
会社名は知らずとも藤野氏の顔や、投資信託の名をご存知の方も多いと思います。
ここから私も投資している彼らの投資信託について考察してみようと思います。
特徴
この投資信託の特徴は以下の3点が挙げられます。
(1) 主に日本の成長企業に投資します。
(2) 守りながらふやす運用に挑戦します。
a) 足で稼いだ情報で成長企業を発掘
b) 株式市場の変化に柔軟に対応
(3) 顔が見える運用。
(2) だけを主に補足し、
a) については最近は大型株、米国への投資も進めており後述します。
b) については株式以外の資産に最大50%まで比率を変更して柔軟に市場に対応するというもの。
至近であればコロナショックの顕在化の前(2020/02)から彼らは既に現金比率を高めており、
コロナショックの底に向かって落ちる中で現金比率を下げ、底値を拾っています。
この辺りが彼らの投資信託の強み(守りながら増やす)の一つである事は間違いないでしょう。
ひふみプラスは凄いのか?(運用成績)
ここからは彼らのパフォーマンスから確認します。
結論としては対TOPIX(インデックス)としても4倍程の運用成績を上げており、
インデックスより優秀な成績を上げている事は事実の様です。
# | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 3年 | 設立来 |
---|---|---|---|---|---|---|
ひふみ | 4.67% | 9.95% | 30.67% | 23.23% | 22.61% | 458.30% |
TOPIX | 1.30% | 5.17% | 17.00% | 4.87% | 4.19% | 93.37% |
この辺りは個別株投資を実施されている方は、
そのパフォーマンスと比較してみるのも良いかと思います。
ミヤモリは資産運用のセンスがない為、これ程のパフォーマンスを継続的に出せた事がありません。
だからインデックス投資を毎週積み立てる事にした訳です。
この「凄い」という抽象的な表現の考察は後述します。
ひふみプラスはどういった銘柄を選定しているのか?
ひふみプラスは「国内中型グロースのアクティブファンド」です。
今後の成長を足で情報を集めて資産を増やしていく訳ですが、
資金が増えれば増える程、大型株までにも資産を運用しなければならなくなる。
といったジレンマを抱えています。
既に2020/10/09時点で「487,373百万円(4,873億円)」の純資産を保有しており、
このお金が後述する大型株や米国株への投資に繋がっています。
多くのアクティブファンドはこの「純資産(特に運用資産)が高まる」事をとても嫌います。
高まった資産の運用先をコントロール出来なくなるラインがあるからです。
ざっくりの目安ですが、
運用資産が「3,000億円」を超えるとパフォーマンスが落ちるとされています。
ひふみプラスの構成比率(時価総額)
# | 時価総額規模 | 比率 |
---|---|---|
大型株 | 3,000億円以上 | 40.91% |
中小型株 | 300億円以上、3,000億円未満 | 48.17% |
超小型株 | 300億円未満 | 6.09% |
現金等 | 4.82% | |
合計 | 100.00% |
ひふみプラスの組入比率(銘柄)(2020年06月30日時点)
先程記載した通り、既にひふみプラスは集まった資金の運用先として
国内外問わず大型株を組み入れ始めています。(2017年辺りからマイクロソフトが追加されている。)
PERから算出するに「国内中型グロース」と呼んで良いかは解釈の幅によると思いますが、
この組入比率は、彼らが運用先に苦戦している現れでは?と推測せざるを得ません。
# | 銘柄名 | 銘柄コード | 組入比率 |
---|---|---|---|
1 | DOMINO'S PIZZA, INC. | DPZ | 2.06% |
2 | ショーボンドホールディングス | 1414 | 2.02% |
3 | 東京センチュリー | 8439 | 1.97% |
4 | MICROSOFT CORPORATION | MSFT | 1.90% |
5 | 協和エクシオ | 1951 | 1.58% |
6 | OLLIE'S BARGAIN OUTLET HOLDINGS | OLLI | 1.34% |
7 | ACCENTURE PLC-CL A | ACN | 1.32% |
8 | SHIFT | 3697 | 1.32% |
9 | VEEVA SYSTEMS INC. | VEEV | 1.28% |
10 | ミライト・ホールディングス | 1417 | 1.28% |
ひふみプラスの最近の傾向
基準価格については設立来高値を更新し、堅調な推移を見せています。
こちらが懸念の資金の流出の状況ですね。
2019年下期から2020年上期共に目立って来ています。
おそらく2017年に露出が増え、資金を投資した投資家たちが、
新しい投資先(ex. 国内株、米国株)へ資金を変更しているのだと思います。
この流出が加速した場合、
彼らの運用成績に影響が出る事が予想され、ここは少々危険だと感じており、
引き続き注視する必要があると考えます。
2020/11/21 追記
2020/10も「-27,002百万円」の資金流出が続いています。
以下のキャンペーン等は資金流出を補填する為の調達の様にも見えなくはありませんが、
減りゆく資金の運用先は今後も注視が必要だと思います。
その為、現時点では私はこの投資信託に新規で積み立てる事は行いません。
今後の私の資産運用のシナリオとして考えているのは、以下の様な流れです。
◎ 国内比率を「50%」から「30%」まで減少させる。
◎ 減少させた「30%」は「ひふみ」から、「国内インデックスファンド」にスライドさせる。
◎ 余った「20%」の内の「10%」は先進国株式に徐々にスライドさせる。
◎ 残りの余った「10%」は先進国債券に徐々にスライドさせる。
私の投資実績(年の利回りではありません。)
あくまで2017年から積み立てを行い、2019年前半で積立を停止し今日を迎えた場合、
こういった運用益になりました。という参考値です。
# | 運用益 |
---|---|
特定口座 | 27.01% |
NISA口座 | 18.58% |
国内中型グロースのアクティブファンドの化け物
さて、ここからはひふみプラスは「凄い」のか?といった話を記載します。
「凄い」という表現は抽象的ですので、
一つの指標としてシャープレシオを確認してみる事で「ナンバーワン」であれば「凄い」としましょう。
※ シャープレシオ
リスク当たりのリターンを測る指標であり、数値が高い方がリスクを取った結果得られたリターンが大きかった事を指す。
結論は「もっと運用効率の良い投資先が存在する。」です。
2020/11/21 追記
Twitterより現在買付可能な投資信託を比較するのはどうか?といったコメントがあった為、
まずはコメント頂いた投資信託の商品を下表に反映させてみました。
# | トータルリターン | シャープレシオ |
---|---|---|
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン | 21.57% | 1.16 |
DIAM新興市場 日本株ファンド | 30.73% | 1.13 |
新光 小型株オープン『愛称:波物語』 | 17.41% | 0.88 |
ひふみプラス | 11.40% | 0.70 |
※ 5年比較(モーニングスターより抜粋)
※ DIAM新興市場日本株ファンドは2016年5月に新規買付を停止しています。
もし、読者の方が「国内中型グロースのアクティブファンド」を探しており、
「ひふみプラス」がメジャーであるから。という理由で運用を開始・継続する場合は、
少し立ち止まって周りを確認してみると良いと思います。
おわりに
ある一つの投資信託の商品について始めて記事を書いてみました。
書きたい事は多くありましたが、今、個人的に懸念している部分を主に記載しました。
「ひふみプラス」は悪い商品ではないと個人的には思っています。
特にコロナショックでは現金比率を引き上げ、確かに資産を守る事に成功していると思います。
ただ、最近の資金流出が続いている点はリスクだと考えており、
この流出が運用に与えるインパクトが無視出来ない時期が徐々に出るだろうと思っています。
しかしこれは、見方を変えれば、資金の減少は本来の運用方針(中型グロース)に戻れる。
とポジティブに捉えています。
ファンドについては栄枯盛衰あり、市場は常に冷酷です。
1994年に伝説のファンドとして誕生した「ロングターム・キャピタル・マネジメント」は、
運用チームにノーベル経済学賞受賞者らを集め膨大な資金を集めました。
そして設立から僅か5年で、コロッと市場から撤退(破綻)しました。
※ 1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア財政危機で資産を溶かした。
自分の投資先はどういった運用先を選定し、どういった方針で運用しているのか。
それに自分は納得してお金を預けられるか。
そういった事を納得した上で、是非、お金と仲良くして欲しいです。
こういった公開情報が誰かのお役に立てば幸いです。