【要約】ハーバード流交渉術
※ 本記事は8分程の分量があります。
著者
ロジャー フィッシャー
ウィリアム ユーリー
書籍の概要
ハーバード大学交渉学研究所のメイン・スタッフが開発・構築した交渉術の決定版を全て公開。「相手のほうが強いとき」「相手が話に乗ってこないとき」「相手が汚ない手口を使ってきたとき」でも、その上をいく画期的な、この方法を会得したあなたの交渉力は飛躍的に向上。
Amazon 「BOOK」データベースより抜粋
- 著者
- 書籍の概要
- 手にとってみた経緯
- 特徴
- 原則立脚型交渉とは?
- 原則立脚型交渉を知る前に忘れてはならないこと
- 交渉を始める前、交渉中の心構え(交渉決裂を防ぐ為に)
- 相手の感情問題を解消させる5つの方法
- 相手と意思疎通を行う4つの方法
- 利害を探る5つの方法
- 相手と合意形成が出来ない場合の5つの方法
- 交渉が成立しない場合を考慮せよ
- 原則立脚型交渉にする為のキーワード
手にとってみた経緯
「交渉」は大なり小なり、日常生活においても「交渉」は顔を出します。
私は仕事において顧客と交渉を行う様になり十数年しか経っていませんが、未だに難しさを痛感します。
おそらくこの難しさは「交渉」という事がある限り、誰しも避けては通れないものだと思っています。
徐々に交渉にて扱う規模が大きくなり、様々な交渉の考え方を学びたかった事もあり、その勘所をこの書籍に求めました。
この記事は2019年にEvernoteにまとめた情報を推敲し、公開しているものになります。
特徴
対象読者
プロジェクトマネージャー
プロジェクトリーダー
交渉に携わる全ての方
良い点
自分勝手な主張を行うのではなく、原則に基づいた交渉方法について学ぶ事が出来る。
内容と、価格面から鑑みれば「交渉」について記載された本としては良書です。
悪い点
理想と現実がある為、ある場合では適応出来ない部分がある。
※ そういう所は軽く読み飛ばせば良いと思います。
内容紹介
原則立脚型交渉とは?
原則に基づき、双方の人(立場)に焦点を合わせるのではなく、利害に焦点を合わせた折衷案を目指す交渉方法を指す。
絶対的な敗者を交渉によって生み出すのではなく、双方何かしらの利点がある結果を得られる交渉である。
又、「交渉」となっているが、日常のコミュニケーションとしても活用が可能だ。
原則立脚型交渉を知る前に忘れてはならないこと
利点について言えば、自分が「100%」の利点を得られた方が良い。
しかし、その様な交渉は往々にして難航し、折衷案を模索する事になるのは想像に難くないだろう。
この交渉方法は「元請け」と「下請け」の場合には「ほぼ」機能しない為、注意すること。
「元請け」からすれば、この案で「おたく(下請け)」で出来ないなら他を当たるわ。となる為だ。
交渉を始める前、交渉中の心構え(交渉決裂を防ぐ為に)
◎ 相手の人間性を尊重すること。
◎ 相手の立場や主張を理解する努力をすること。
◎ 双方の意見の差異(ギャップ)を双方が認識すること。
◎ 意思決定に影響を及ぼす相手は必ず検討過程から交渉の場に参加させること。
※ 後から異論を持ってそいつはやってくる。
相手の感情問題を解消させる5つの方法
1.自分と相手の感情を認識し、理解すること。
2.自分がどの様な感情を抱いているのかを吐露する。
3.相手の言い分はすべて聞くこと。
4.感情を爆発させている場合は交渉にならない為、反撃しないこと。
5.相手への心配りを怠らないこと。
※ 相手の主張の尊重や立場への同情、自らが残念な感情を抱いた場合は遺憾の意を表明する。 etc.
相手と意思疎通を行う4つの方法
1.相手の意見・感情、言わんとする内容を汲み取ること。(前述した1.に同じ)
2.共通の問題を持つ者同士で協力出来ないかを考えてみること。
※ 会議の後に各々が相談に走る姿がそれに近く、双方の情報をオープンにし、交渉を前に進める。
3.相手が何をどうしたではなく、私は何をどう感じたかを伝えること。
※ あなたは反故したと責めるのではなく、私はあなたに失望しました。とする。
4. 役に立たない発言は合意形成を遅らせる為、そういった発言はしないこと。
利害を探る5つの方法
1.なぜ相手はそのように主張するのかを相手の立場になって自分自身で考えてみる。
その上で相手を理解する為に質問を行い、相手の主張の背景を理解し、利害を探り出す。
2.相手の主張を頭から否定するのではなく、一理あると考えてみる。
その上で、自分の主張をなぜ合意出来ないのかを考え、利害を探り出す。
3.結論から述べた場合、即刻反発される可能性が見込まれる場合、理由から述べる考慮を行うこと。
4.自分の主張を幾つかの案として準備し、相手が合意可能な案を柔軟に切り替えられる様にすること。
又、案については部分的に相手が合意可能な場合もあり、その際はそれ以外の合意出来ない部分に焦点を合わせる。
5.その案を合意した場合にどの様なデメリットが発生するのかを考察すること。
相手と合意形成が出来ない場合の5つの方法
1.相手の主張の根拠は何かを相手に説明してもらう。
2.自らの主張の何が問題(悪い)なのかを相手に説明してもらう。
3.相手が自分を攻撃してきた場合は、個人的な攻撃は無視し、問題にのみ対応する。(感情的にならない。)
4.相手が語り手から降りるまで無言を貫く。(無言は相手への追加情報の呼び水となる。)
5.第三者の調停者を含めて別途交渉を行う。
交渉が成立しない場合を考慮せよ
交渉が成立しない場合に自分にどの程度のデメリットが出てしまうのかを一覧にて整理しておくこと。
リスク管理と同様にどこまでが合意出来る限界のボーダーラインであるかも同時に整理しておくこと。
原則立脚型交渉にする為のキーワード
1.私が間違っていたら教えて下さい。
自らが謙る事で間違っていれば相手はその旨を指摘し易く、正しい場合は相手は私(自分)は理解出来ている事が確認でき、安心に繋がる。
2.あなたの行動には感謝している。相手を支援する。
相手は私と同じ人間であり、敬う気持ちや感謝の気持ちを表すこと。
又、こちらが相手を支援すればする程、相手はこちらの申し出を裏切る事が難しくなる。
3.私は公平か否かが知りたいのです。
誰が悪いのか。どの様な文句があるのかを聞きたい。言いたいのではない。
公平な意見であるか否かに聞きたい旨を伝えること。
4.欲得ずくや、力ずくではなく、原則に則って解消したいのです。
5.あなたへの信頼と主張の公平さ、原則は別問題です。
相手が「私を信頼出来ないのか?」と迫ってきた際は、主張と人を分けて考えること。
6.あなたの主張の根拠はどのようなものでしょう?
7.双方の意見が合意出来れば○○になりますが、合意出来ない場合は△△になります。それでも良いですか?
自らが交渉の場から降りられると相手が困る場合等にこのキーワードが使いやすい。
例えば、SIer業界であれば、発注元がベンダーロックをしている場合、そのベンダーは大きな力を有する。
その時、そのベンダーは顧客と縁を切る覚悟があり、契約違反にならない場合は、「では、弊社は撤退します。」まで暴論だが突きつける事が出来る。(極端な例ですが…)
次のアクション
交渉の場に出た事がない方は、交渉とは何をするものなのかを学んでみましょう。
交渉の場に出た事がある方は、絶対的な正解は交渉においてない為、様々な引き出しを持ちましょう。
そして、何より交渉を楽しみ、夢の「Win-Win」へ落とし込める様に善処しましょう。
私も交渉の場に出る機会は人生の先輩方より、勿論少ないです。
だからこそ、顧客、先輩の背、自らの経験以外の方法で、この様に学び、実践しています。
この書籍を読んだ方が、何かしらの仕事のヒントを得られれば、幸いです。
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