リモートワーク下のプロジェクトマネジメントの悩み

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今回はプロジェクトマネジメントに関する記事です。

2020年の新型コロナウィルスの流行から、
働き方がリモートワークへ切り替わった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

かくいう私の働き方もリモートワークが中心となり、
今までのオンサイトによるシステム開発の終わりを日々強く感じています。

今回は私がこのコロナ禍で中規模(30名程度)のプロジェクト運営を行うにあたり、
日々考えている事や反省点などを整理した記事になります。

※ プロジェクトマネージャ、リーダ目線の記事です。

対象者

◎ リモートワークを推進すべきか悩んでいる方
◎ リモートワークがうまくいっていないと悩んでいる方
◎ 他の人はどの様にプロジェクトを推進しているのか参考にしたい方 etc.

記事で分かる事

◎ オンサイトからリモートワークに切り替える為に必要な事は何か?
◎ オンサイトとリモートワークの違いは何か?
◎ プロジェクトマネジメントにどの様な変化が私にあったか?

今までのシステム開発

今までのシステム開発は拠点毎にオンサイトにて行っていました。
場所は客先、又は、自社への持ち帰りが許された場合は自社ですが、
何れもその拠点に出社しての業務遂行でした。

その為、リモートとなるのは異なる拠点のメンバーとのやり取り程度であり、
ニアショアやオフショアといったものだけが該当していました。

リモートワークの始まり

元々は柔軟な働き方の実現の手段として産声を上げましたが、
2020年から世界的パンデミックと化した「新型コロナウィルス」により、
今や会社に出社して遂行する仕事か否かを問われる程、
リモートワークが推奨(強制の場合もあります。)されるまでになりました。


世相を反映するテレビCMでもこの様な放送もありましたね。

経営者の皆様へ
仕事とは、どんなときも「出社させる」ことでしょうか?
在宅でもできる仕事を
オフィスでがんばらせることは必要ですか?
がんばるな、ニッポン。

www.youtube.com

リモートワークに必要なもの

ある時突如として「来週からリモートワークをお願いします。」と、
顧客から言われたあなたは色々と準備に奔走しなければなりません。

2019年12月頃の武漢の流行からこのリスクを
リスクマネジメント計画に書いていた
プロジェクトマネージャは少なかったのではないでしょうか?

さて、まずはリモートワークに切り替える為には、
以下の様な所が最初のポイントになるかと思います。

1) 顧客との契約や誓約書に見直しが必要か。
  必要な場合は新たに何が必要かを確認すること。

2) 自社とパートナー契約を行っている会社間の契約や誓約書に見直しが必要か。
  必要な場合は新たに何が必要かを確認すること。

3) 参画メンバーが自宅で業務が遂行が出来るネットワーク環境が整っているか。
  整っていない場合はモバイルルータ等を貸与する。

4) 顧客の機密情報を取り扱う場合はSSL-VPN等を利用出来る環境を
  顧客側に準備し、その通信網で業務が行える様に手続きを行う。

5) 顧客、メンバー間のコミュニケーションはどの様なツールを用いるのか。

様々な今まで考慮不要だった事が考慮せざるを得なくなる為、
自社内の法務部や総務部、営業と協業して進めていく事が必須になります。

リモートワークは何故やり難いのか?

最低限の準備が出来、
全員が自宅でのリモートワークに切り替わったと想定しましょう。

簡単な周知事項を行いたい場合は、
オンサイトならばその場でメンバーを確認し、声による説明で十分です。

説明を聞いているか否か。それは姿勢や雰囲気で感じ取る事が出来ます。
その情報伝達の速さや、視覚、空気感から伝わる情報等がオンサイトのメリットです。


一方、
リモートワークで同じ事を行う場合は、
全員がそのコミュニケーションツール利用状態になっているかを確認し、
相手の表情はプライバシーの関係上遮断された状態で説明を行う事になります。

まず、相手が説明を聞いているのか否かは判断出来ません。
これはもう、性善説で考えるしかありません。

出来る事があるとすれば、
実際の行動に繋がっているかを自ら調べる事だと考えています。

この何かを伝える、確認する行為に時間が掛かってしまう事が、
リモートワークのやり難さの一番のポイントだと思います。

リモートワーク下の情報伝達

私は誰かに何かを伝達する場合は、少なくとも文面や図解と口頭で説明を行います。

その行動の背景には、
今まで日本語を母国語としない方々と一緒に仕事を行ってきた経験や、
言った、言ってないという不毛な時間を費やしたくないとの思いや、
図解が相手の理解力を大幅に助ける力がある事を知っているからです。

そうした消えない情報として残し
相手の理解を双方ですり合わせた上で仕事をしてきている為、
リモートワークになった今でも、このスタイルは変わっていません。

その為、今まで口頭での伝達だけを得意としていた
プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダが
情報伝達に苦戦している様に私には見受けられます。

メンバーが悩んでいるかが見えない

オンサイトの場合は、
悩んでいるメンバーは仕事ぶりや休憩時間などを観察していれば分かります。

私はこのメンバーの無言のメッセージからメンバーの特性(傾向)を把握し、
それらを今のプロジェクトに最適な方向へ導く事を得意としていました。

ですから、
リモートワークにおけるメンバーの姿が見えないのは本当に困りました。

救えたとしても、
コミュニケーションツールで発言する人だけを救う事になるからです。

私はここで、今までの救い方とは異なる観点で対象者を探す事にしました。

救うべきメンバーを数字から拾う

プロジェクトの進捗管理WBSを用いて、EVMで見える化を行いましょう。
そして、日毎、週毎、月毎の担当者毎のPV、EVを日毎に監視します。

この時、メンバーの傾向を3種類に分類します。

・進捗が芳しくない「EV:1.0MD未満」傾向にあるメンバーをピックアップします。
・毎日「EV:1.0MD」を積み上げる傾向にあるメンバーをピックアップします。
・毎日「EV:1.0MDを超える」傾向にあるメンバーをピックアップします。

次に数字以外から情報を収集する為に、
朝や夕方の状況確認会の本人の状況報告に加え、現在の悩んでいる(問題)部分を確認します。

この2つの情報を元にメンバーの支援方針を導き出します。

そして、以下のメンバーだけを救う事に注力し、他のメンバーの支援は優先度を落とします。
・進捗が芳しくない「EV:1.0MD未満」傾向にあるメンバー
 a) 悩みはない
   遅れている認識がない。
   いつまでに何をどこまでの水準で仕上げるのかを説明する。

 b) 悩みがある
   問題が恒常的なものか。一時的なものかを判断して支援する。
   何が本当の問題であるかをヒアリングし、今後に備える。

チェックすべきメンバーを数字から拾う

ここはリモートワークとオンサイトで違いはありませんが、
進捗報告に違和感のある報告をするメンバーがいないかを確認します。

・毎日「EV:1.0MD」を積み上げる傾向にあるメンバー
 進捗率の算出方法によってはピッタリ「EV:1.0MD」が稼ぎ続けられる事は異例です。
 本人が何かしら誤魔化している可能性が高い為、
 そのEV:1.0MDの根拠を報告させましょう。


・毎日「EV:1.0MDを超える」傾向にあるメンバーをピックアップします。
 何かの作業が漏れている可能性が高いです。
 この時、他の同等機能の開発を行ってるメンバーのEVと比較すると違和感に気付きやすいです。
 ※ 生産性が高過ぎるメンバーである事も5名に1名程はいるものですが…

この方式で何を考えたか?

EVMとしてSV、CVを確認し、そこに手当を入れる事だけに注力した結果、
今までの私の支援方法は相手にとっては有り難かった支援だったと思いますが、
プロジェクト全体としては私の時間が減ったが為に本来の仕事が出来なかった。
という事で大幅なマイナスだったのでは?と考える様になりました。


SPI、CPIが「1.0」に近いプロジェクト運営が出来ており、
プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダが先を見据えた活動が出来ている状態を作る。


それが今回のリモートワークを経て私が痛感したプロジェクトマネジメントの変化です。

おわりに

このリモートワークは今後、
社会を動かす為の仕組みとして確立すると感じています。

2021年以降はよりバーチャルな世界のやり取りが花開く事でしょう。

今までのやり方に固執する事なく、
より良い方式を模索し、試行錯誤を経て、日々改善していきたいと思います。

それでは、また。