【要約】嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

※ 本記事は8分程の分量があります。

著者

岸見 一郎 , 古賀 史健

対象読者

・今の自分を変えたいと思っているが、なかなか一歩踏み出せない理由を知りたい方
・自分で色々な仕事を抱えてしまうタイプの方
・相手の顔色を伺って生活している方

書籍の概要

「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない――
【対人関係の悩み、人生の悩みを100%消し去る〝勇気〟の対話篇】

世界的にはフロイトユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー
「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、
対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学は、
現代の日本にこそ必要な思想だと思われます。

本書では平易かつドラマチックにアドラーの教えを伝えるため、
哲学者と青年の対話篇形式によってその思想を解き明かしていきます。
著者は日本におけるアドラー心理学の第一人者(日本アドラー心理学会顧問)で、アドラーの著作も多数翻訳している岸見一郎氏と、
臨場感あふれるインタビュー原稿を得意とするライターの古賀史健氏。
対人関係に悩み、人生に悩むすべての人に贈る、「まったくあたらしい古典」です。

Amazon「概要」より抜粋

手にとってみた経緯

本書を書店で平積みされている事は知っていました。
しかし、アドラーという馴染みのない心理学者というのもあり、今まで手にとって来ませんでした。

ただ、私が適応障害うつ病を患った事から、今の心の在り方を変えたいと思うようになりました。
知らず知らずの内に精神を病んでしまった為、その対処方法を本書に求めたのです。

本書は物語形式で進み、読むのに面倒な点はありましたが、私はスルスルと引き込まれていきました。
あなたの悩みも、もしかしたら少し楽になるかもしれません。
今回はそんな本の紹介です。


特徴

良い点

・物語形式で話が進む為、ある一定の記憶の定着を見込めます。
・あなたが何故変わる事が出来ないのか?という回答を得ることが出来ます。
・あなたが何故辛い思いをしてしまうのか。それはどう対処すれば良いのかが分かります。

悪い点

・物語形式である為、何が言いたいのかをサッと把握する事が出来ません。
・登場人物の青年のセリフが感情的で少々読むのに辟易してしまう時があります。

内容紹介

あなたが幸福になりたいのに、不幸を選んでしまう理由

誰しも幸福になりたいと思っていると思います。
しかし、自分は不幸だと感じる人が私を含め、きっと多いと思います。(満たされないと感じている)
○○があったら、○○ではなかったら、そんな声がいつも聞こえます。
ただ、アドラーはその不幸を選んでいるのは自分だと言います。

アドラー曰く いまのあなたが不幸なのは自らの手で「不幸であること」を選んだからなのです。
あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。
人はいろいろと不満はあったとしても、このままのわたしでいることのほうが楽であり、安心なのです。
変わる事で生まれる不安と、変わらないことでつきまとう不満。
あなたは後者を選んだから変われないのだ。

可能性の中に生きるという自己防衛措置

私になになにがあったならば、なになに出来るのに。
そうした事をつい口にしてしまう事があると思います。
しかし、そういった事を口にする人が、その事柄を達成する事はほぼないでしょう。(私もそうです)
その理由をアドラーは以下の様に語ります。

アドラー曰く 「やればできる」という可能性を残しておきたいのです。
人の評価にさらされたくないし、ましてや駄作を書き上げて落選する、という現実に直面したくない。
時間さえあればできる、環境さえ整えば書ける、自分にはその才能があるのだ、という可能性のなかに生きていたいのです。

自分の事を好きになれないでいる理由

アドラーは目的を達成する為にその行為・行動を自ら選択しているといいます。
つまり、短所ばかりに目が行く人は、その短所がある目的を達成する為に必要である為、短所に目が行くのだ。と。
本書では青年の例として以下の様な目的の達成が挙げられています。
これは非常に共感できる内容でした。

アドラー曰く なぜあなたは自分が嫌いなのか?
なぜ短所ばかり見つめ、自分を好きにならないでおこうとしているのか?
それはあなたが他者から嫌われ、対人関係のなかで傷つくことを過剰に怖れているからなのです。
あなたは他者から否定されることを怖れている。
誰かから小馬鹿にされ、拒絶され、心に深い傷を負うことを怖れている。
そんな事態に巻き込まれるくらいなら、最初から誰とも関わりを持たないほうがましだと思っている。
つまり、あなたの「目的」は「他者との関係のなかで傷つかないこと」なのです。

では、どうやってその目的をかなえるのか?
答えは簡単です。
自分の短所を見つけ、自分のことを嫌いになり、対人関係に踏み出さない人間になってしまえばいい。
そうやって自分の殻に閉じこもれば、誰とも関わらずにすむし、仮に他者から拒絶されたときの理由づけにもなるでしょう。
わたしにはこういう短所があるから拒絶されるのだ、これさえなければわたしも愛されるのだ、と。

人間関係における課題を分離せよ

人の活動は人間関係を無視して語れません。
例えば、色々な物事に口を出したり、口を出されたりする訳です。
その様な時に有効な手段としてアドラーは課題の分離という手段を提示します。

アドラー曰く われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題とを分離していく必要があるのです。
そして、分離した後、他者の課題には踏み込まない事です。

あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと―
あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること―
によって引き起こされます。

誰の課題化を見分ける方法はシンプルです。
「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考える事。

自分の価値を実感する瞬間

自分の価値を実感する瞬間とは、あなたはどの様な時でしょう?
私は誰かの役に立てたと実感出来た瞬間でしょうか。やって良かったと報われます。

アドラーも同じ事を語っていますので、その部分を紹介します。

アドラー曰く 人は「わたしは共同体にとって有益なのだ」と思えたときにこそ、自らの価値を実感できる。
「わたしは誰かの役に立っている」と思えること。
他者から「よい」と評価されるのではなく、自らの主観によってわたしは他者に貢献できていると思えること。
そこではじめて、われわれは自らの価値を実感することができるのです。
ここでの大切な事は、自らの主観という箇所です。
本当にそうであったかを本質にしてしまうと、相手にコントロールを任せる事になります。
その為、自分でコントロール出来る主観という視点で役に立てたと考える事で満たされるのです。

人生の3つのタスク

そろそろ記事も終わりに差し掛かります。
ここではアドラーが言う人生の3つのタスクについて紹介します。
アドラーは人生には3つのタスクがあり、そのバランスを取りなさいと言います。
①仕事のタスク
②交友のタスク
③愛のタスク

どうでしょう?
バランス良く活動出来ているでしょうか?
私の場合は、仕事のタスクを優先しすぎていた気がします。
休日は眠ってばかりいる。そして平日は馬車馬の様に働く。といった感じですね。
アドラーは他のタスクに活動出来ていないのは、あるタスクを口実に他のタスクの責任を放棄していると述べます。
痛い所を突いていますが、バランス良く生活するのは相当難しいので、ここは日々意識的に活動する必要がありますね。

次のアクション

言っている事は分かるが、どうにも行動するにはハードルが高いな。という意見もあるでしょう。
一歩一歩日々意識していれば、徐々により良い人生を生きる為の活動が出来るのではないかな。
私はそう思うようにしました。

意識して生活してみる。それだけでも十二分に効果があると思います。
本書を読みつつ、「反応しない練習」を読んでいた事もあり、類似点も見受けられ勉強になりました。
もし良ければ、以下のブログ記事も参照下さい。
少しでもあなたの悩みが無くなれば幸いです。

look-good-on-paper.hatenablog.com

おわりに

私は短所ばかりに目が行ってしまい、そういう性格なのだと思っていました。
しかし、その行動の元凶を辿ると、「もっと出来る自分がいる」可能性を残したい。といった思いがあったりします。
こうした行動を選択を変える事が出来るのは自分だけです。

一歩一歩、より良い自分に変わっていければ良いな。そう感じさせられる書籍でした。

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